【熊本地震】「インスタントみそ汁が心に染みた」 食事から避難生活を描くマンガ『ひさいめし』とは

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被災した時は、トイレと食べ物が大事ですね。

特におにぎりと味噌汁は本当に身にしみると思います。

 

ソース元

見ず知らずの人たちが、わずかな食事をお互いに分け合う。熊本地震で被災した漫画家のウオズミアミさんが、避難生活の中で触れた光景だ。そんな経験を多くの人に知ってもらたいと、ウオズミさんはエッセイ漫画「ひさいめし〜熊本より〜」(マッグガーデン発行)で、自身の被災体験を『食事』という視点からつづった。避難生活で口にした‘あたたかいご飯’を通じて、震災の現状や人々の交流を描いた。

最初の地震が熊本を襲った2016年4月14日、ウオズミさんは同居人の女性とペットの猫と一緒に、熊本市内に暮らしていた。さらに16日に起きた本震で、水道やガスなどのライフラインが止まり、公園や避難所、自宅とを行き来する生活が始まった。

一緒に避難した友人から紹介され、その日初めて会った男性は、自宅から持ってきたレトルトの食料を「みんなで分けて食べましょう」と提案してくれた。避難所の公民館では、見ず知らずの女性が、コップに注がれた少量のインスタント味噌汁を分けてくれた。苦労が絶えない避難生活の中で触れた、そんな人のあたたかさが心にしみた経験が、作品では数多く描かれている。

「こんな状況でも、他者を思いやろうと行動する人間の強さや美しさを伝えたいと思った」。

そう語るウオズミさんに、震災の実情や作品に込めた想いを聞いた。

■「一杯のみそ汁が心にしみた」

 

−ひさいめしを描こうと思った理由や、作品に込めた想いは何ですか

「広くこの経験を知ってもらいたい」「今後誰かの役に立てるかもしれない」という想いです。マンガであれば、多くの人に読みやすく、視覚的にも状況を知ってもらいやすいのではないかという想いがありました。

こんな状況でも他者を思いやろうと行動する人間の強さや美しさ、またそうあろうとする姿はとてもありがたく、私には未来への希望のようで、それを伝えたいと思いました。感謝や未来への希望を、被災した方々と分かち合えればという想いがありました。

 

−なぜ食べ物を題材に取り上げたのでしょうか

「食べることは生きることだ」とつねづね思っていました。加えて私自身が調理師免許を持っていて、野外で食事を作る経験があったことや、「つらい状況の時こそ“意識して温かい食事をとる”のは大切だ」と思っていたのも理由の一つです。

そして何より、「何が1番心に残っているか」と担当編集者に尋ねられた時に、4月17日の朝に避難先のご婦人からいただいたインスタントのお味噌汁が、ほんとうにほんとうに心にも体にも“沁み込んだ”と感じたからです。

 

−ひさいめしはどのような反響がありましたか

熊本県内の方からは、同じような経験をした「同じ思いだった」「思い出して泣いてしまった」「辛くて読み進められなかった」などの声をいただき、熊本地震以前に被災した経験のある方からは、励ましと強い同情の声がありました。

その他にも、「ためになる情報があった」「今後の生活で役立てたい」「覚えておきたい事が描いてあった」などの声をいただきました。

 

−作品の中で、わずかな食料をお互いに分け合うシーンが数多く登場します。ご自身が大変な中でそのような行動を取れたのはなぜでしょうか。

私が友人たちに対して思ったのは、少しでも安心して欲しいという想いです。今まで彼女たちが私にしてきてくれたことを思い返し、今すこしの間なら私が彼女たちを支えられると思いました。作中で登場する上木くんが分けてくれた温めたレトルトは、彼の深い優しさと思いやりからだったんでしょう。

また、ご婦人たちのお味噌汁をいただいた時、実は一度「申し訳ない」と断りました。しかしそこでご婦人がおっしゃった言葉は、「よかとよ(いいのよ)、これは“気持ち”だけん」。それを聞いたから、その後友人たちに“気持ち”を分けたいと思えたのかもしれません。

 

−ペットと一緒の避難で苦労はありましたか

どこにでもは連れていけないということです。ペットが可能な避難所は限られていて、可能であっても、犬や猫など他の多くのペットと同じ場所に置くことになるので、ストレスが多くかかる不安がありました。

こうした理由で、ペット飼っている人の大多数は、車中泊もしくはペットを自宅に置いての避難でした。避難先(車中泊であっても)でも、水を飲まない、おしっこ・うんちが出ない、神経過敏になる、余震に怯えるなど、個体差はあるものの、多くの心配がありました。

一緒に避難したウオズミさんの愛猫

 

−ひさいめしを描き上げた時、どのような気持ちでしたか

やはり葛藤がありました。(私が住んでいる場所も)被害地域なんですが、とても大変な思いをされた方々が数キロ先にいらっしゃったので、果たして私がこれを描いてよかったのかと考えました。

辛い思いをされた人たちがたくさんいるので、その分役に立つものをしっかり書くこと、心に寄り添って描きたいということ、それができただろうかというような気持ちでした。「やっとかけた」というのとは違う、複雑な心境でした。とにかく役に立つ内容を意識しました。

今度も大きな地震がくると言われているじゃないですか。1回でも読んで知っていると、知恵があるというか、思い出すものだなと思ったんです。どこかで読んだり見たりしたものは、思い出せば使えることがとて多いので、(私の経験を)全部託したいという思いでした。もれなく紹介できたのではないかと思います。

 

−「役に立つ」「共感した」という声が寄せられています

ありがたいことです。猫のためにできることも紹介させていただいたので、日ごろから猫に対して使えるのではないでしょうか。

巻末に『備蓄しておいてよかったもの』『持っておいて役だったもの』というイラストも設け、「役に立つ」という声をよく聞きます。

 

−どのような思いで過ごした1年でしたか

とても早いという印象です。「もう1年か、あっという間に経ってしまったなぁ」と、みんなそう語っています。余震がとにかく多くて、やっとなくなり始めたと思ったのが2016年末あたりです。年末までは矢のように早かったと、みんなで話しています。

やっと落ち着き始めたと思ったのは、今年に入ってからで、もう3、4月で1年が経つんだという気持ちです。

ここ1、2週間余震が多くて、熊本に住んでいる人はすごく身構えてしまっているようです。

当時の記憶が蘇ってしまうというか、ちょうど1年なので余計に当時を思い出している時に、熊本地震を取り上げるテレビのニュースも多くて、色々とフラッシュバックのように当時に戻され、それが怖いという話をよく聞きます。現状は、震災から前に進んだようで進んでないようで、どうにかここまでやってきたという印象です。

 

−熊本城の復旧が進んでいないなど、現在の熊本の現状や、復興の状況についてどのように感じていますか

現在、復興の遅れは大きいと思います。これまで国内で起きた震災で繰り返し取りざたされている問題が、今の熊本にもあります。例えば、みなし仮設住宅の不足による入居待ちや、安全指定のあった集合住宅が随分経ってから危険宣告をされ住居を失うといったことです。

罹災証明の発行待ちや、瓦礫置き場の確保の問題、経営不振による工事の頓挫、仮設住宅での孤独…。経済的にも精神的にも、「もう一度、立ち上がる」「負けない」「頑張る」といったような力が残っていない人が多くいるんだろうと、自分自身の現状からも容易に想像できます。

こうした多くの問題に嘆くだけでなく、これからどう対処し改善していくか。社会と個人や個人同士が、具体的にどのような関わりを心がけ、築いてゆくのか。地震の多い日本で暮らす上でとても重要な課題だと感じます。

作品の収益の一部は、熊本県への義援金に充てています。

 

 

 

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大橋東洲 プロフィール(学生時代)→ こちら

大橋東洲 プロフィール(社会人から、なぜセブ島へ?)→ こちら

 

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